会津の遺臣である東海散士がアメリカにわたり、フィラデルフィアの独立閣でアイルランドの美女紅蓮、スペインの貴女幽蘭にめぐりあうのが発端で後に中国の明朝の遺臣も加わる。いずれも亡国の憂いを抱き、権利の回復運動に進もうとするかれらの交情が描かれる。なお、この話の中でハンガリーのコシュートが亡国の代表として各編に登場する。
東アジア経営にかんする意見、世界の地誌、世界史への注釈などが加わり、前半では小国が大国に依存した状態では民族的解放ができないこと、小国の国民は国を守る気力を持たなければならないこと、小国同士が手を取り合って協力すべきことが説かれている。
後半になると、作者自身が谷干城に随行してヨーロッパを視察したときの体験が混ざり、また金玉均との交友から朝鮮半島をめぐる議論や日清戦争後の三国干渉をめぐる議論が作品の主軸を占めるようになり、佳人の面影は作品からは遠ざかっていく。
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