2015年8月30日日曜日


戦国信濃島津氏は千曲川の西岸善光寺付近から豊野町飯縄町一帯を領した戦国大名で、甲越の川中島の戦いの境目に位置した信濃の国人領主です。
 信濃島津氏は九州島津氏と同根で、忠久が承久三年5月(1221)大田庄地頭職に補せられ、文治二年(1186)正月8日、塩田庄の地頭に補せられました。安貞元年(1227孫の高久が大田庄の地頭職を継いで、長沼に住しました。
 室町期、元中元年(1387)4月、漆田の戦、応永六年(1399)、大塔の戦いでは守護に抗し、守護軍と戦い破った記録があります。永享十三年(1440)3月に起きた結城合戦では、長沼島津氏は時の信濃守護小笠原政康の指揮下、茨城結城城を攻め、結城陣番帳十三番に島津氏の名が見えます。永正(1504-1520)頃には、埴科葛尾城主村上氏に属したようです。

戦国期島津領は本拠とした長沼館、詰めの要害と思われる大倉城、飯縄地方の中心とした矢筒城を拠点としました。
 
 武田が北信濃に侵攻を始めると、島津阿波守は、天文二十二年八月、村上義清と共に上田原において武田晴信と戦い、これを破りますが、天文二十二年(1553)葛尾城が落ち、村上氏は越後の長尾氏を頼ります。弘治元年(1555)には、長沼城が武田に攻略され島津安房守は越後に走りますが、上杉が取り返し争奪があったようです。弘治三年葛山城が落ちると島津月下斉は大倉城に退き、後、島津安房守は越後に落ちます。月下斉、安房守、後述する淡路守は、同一人物島津忠直のことと思います。

矢筒城 飯綱地方の拠点 
病院が建っているあたりに館があり、運河を利用した物資集散する基地としての機能と城下町を備えていた。 

大倉城 
 長沼は島津時代は館程度のもので、大倉城を詰めの城としたのではないだろうか。
 飯山の高梨氏とは緊張関係にあった時代もあり、飯山方面への備えの意味もあったと思います。
大倉城の様子はこちらに http://blogs.yahoo.co.jp/mei8812462/10311370.htmlまとめました。

永禄四年九月の第四回川中島合戦では、島津勢は上杉軍の先陣として死闘を繰り広げたことでしょう。しかし第四回川中島合戦以降は、長沼は武田の支配するところとなり、長沼館は武田の北信における一大拠点城として改修されていきます。(替佐、壁田、若宮は最前線であり、長沼城が一歩後方の一大拠点) 前線の各城はこちらを御覧ください。替佐城http://blogs.yahoo.co.jp/mei8812462/10086589.html、壁田城http://blogs.yahoo.co.jp/mei8812462/10117498.html、若宮城http://blogs.yahoo.co.jp/mei8812462/10226597.html

長沼公民館に掲示されている長沼古城図です
  武田により、永禄四年十月、掻揚、何倍もの大きさとした。
        永禄十一年さらに大規模に拡張された。 
 上の図は 江戸時代元和二年(1688)から元禄元年(1688)までこの地を領した佐久間時代以降の城下の図です。外郭は佐久間時代、内郭(三日月掘りの中)が武田時代の城郭と考えます。


信濃島津氏ですが、甲越の争いに際し、当主安房守は後越後上杉を頼りますが、武田を頼った分家が他にあったようです。川中島戦以降も安房守は同じく越後に身を寄せ、後の謙信死後の御館の乱では景勝につき、武田を滅ぼし川中島に入った織田の森長可が本能寺での変で上方へ去ると、上杉軍の一員として信濃を回復し、長沼城に復帰します。文禄三年定納員数目録では信州侍中に知行6190石371人の軍役を担い、さらに二十五人の桂(葛)山衆も抱える大身として島津淡路守の名があります。その後も会津、米沢と上杉に従い、明治の初期に東京へ出、家門を伝えています。
 
 武田を頼った分家は尾張守を当主とする一族だったようです。永禄六年八月に武田晴信が嶋津尾張守に宛、戦乱で逃亡した住人を呼び返すよう命令する文書が残っています。
「長沼地下人并従先々在嶋之族□悉集、可遂居住長沼地者也。仍如件、永禄六年亥癸八月十五日」
また、設楽ヶ原の戦い後、武田勝頼が軍役強化をはかり川中島の土地調べをした際、嶋左京亮津泰忠が知行地を書き出した文書も嶋津泰忠知行注文として残っています。
 上杉に従って会津へ行ったは別に、島津家が当地に現在も伝わっています。
 以下現地の方々からの聞き取りと文献からの私の推論です。
 赤沼の島津家が武田についた尾張守で、武田家中として牟礼三水を安堵され、上杉の会津移封には従来の経緯からついて行かず半帰農し江戸期は飯山藩に仕えたのではないでしょうか。


http://blogs.yahoo.co.jp/mei8812462/10290498.html


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