2015年12月8日火曜日

恋に落ちた龍


恋に落ちた龍がいる。

昔、子死越と呼ばれた土地に、五つの頭を持つ暴れ龍が棲んでおり、人々はその五頭龍による度重なる雷雨、洪水、そして凶作に苦しめられていた。ある時その海に暗雲立ち込め雷鳴が轟き、ようやく晴れたときには海上に1つの島が現れていた。
そこに舞い降りた一人の壮麗な天女。龍は一目で恋に落ち結婚を申し込んだが、天女は暴れ龍には見向きもしない。 龍は、その日より心を入れ替えて悪行の一切を止め、その土地を水難から守り、恵みの雨をもたらした。 二人は結ばれ、その土地には豊穣と平穏がもたらされた。いつしか「子死越」は「腰越」と呼ばれるようになり、1192年には日本初の幕府が作られ、日本史上、最も重要な場所の1つとなって行く。
鎌倉、江ノ島。

天女と化して舞い降りた弁天に、恋をした龍神の伝説である。


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