2015年1月14日水曜日

招魂


靖国神社は毎年六月二九日に創建祭を行っている。今年の創建祭は一三六年祭。今から一三六年前の明治二年六月二九日,その日から七月三日まで,東京九段に創建された神社で執行された祭祀の名は「招魂祭」。神社の名称は「東京招魂社」。この東京招魂社が明治一二年六月に靖国神社と改称される。つまり,靖国神社は,招魂祭を執行するために建てられたというのが,その始まりであった。
 招魂祭,魂を招く祭。合理的な思考に慣れた多くの現代人の耳には多少不気味な響きが残る。だが,神社を創建し,最初に招魂の祭をしようというのであるから,創建者にとっては,もっとも大切な祭である。それは,亡くなった者を神として祀るにあたり,「招魂」という神事を執行して祀ることにこそ,神社創建の第一かつ緊急の目的があったことを意味している。明治二年六月二九日から五日間にわたり,「魂」を急ぎ招いた招魂祭とはいったい何であったのか。そこにはどのような思想が貫かれていたのか。ここに焦点を据えることで,靖国問題のある部分が見えてくる。

[出典]
http://www.linelabo.com/nagura0508a.htm


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