妙願寺は、室町時代の1391年、常陸の国筑波郡井吹谷平沢村で開創されたそうです。はじめは天台宗でしたが、のちに浄土真宗に改められました。15世紀前葉にこの寺は北信濃に移ります。
戦火を避けるためという理由があったのかもしれませんが、13~15世紀には、鎌倉幕府または室町幕府の命によって常陸や下総など関東東部の武家の信濃への移封転封が多かったようです。領主には家臣団もともなって移住するので、彼らを信徒とする寺院も移転したり、分寺されたりするのかもしれません。
長野市赤沼の林学院至心山妙願寺は、浄土真宗東本願寺派の寺院です。
創建は1391年で、天台宗の僧、林学が現在の茨城県筑波郡井吹谷平沢の地に開山したそうです。林学は、もとは伯耆の国(現材の鳥取県)気立郡鹿野の領主で、尼子氏に臣従する勇猛な武将だったとか。武士として戦場で修羅場を体験し命のはかなさを感じたのでしょうか、あるとき比叡山に入り修行、得度して天台宗の僧となりました。
回国修行のさいに筑波に居を構えてこの寺院を建立したとか。開創当時は天台の寺院でした。ところがその後、浄土真宗に宗旨を変えたようです。
1429年(永享年間)に現長野市安茂里小市に寺が移され、その後1566年(永禄根間)に長沼津野村の長沼城の堀畔に移転、さらに1752年(宝暦年間)に赤沼の現在地に移設されたという記録が残っています。 この寺から150メートルほど西には、長沼城主家の赤沼分家(3000石)の領主館があるので、実のところは記録よりも100年ほど以前に赤沼分家の寺院として津野村から赤沼に移設されたのかもしれません。 寺の駐車場には、開山550年記念の石塔があります。その建立が1981年なので、1431年が妙願時としての公式の開山時となるのでしょうか。
https://www.walkigram.net/naganuma/temple04/index.html
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