インド生まれのナーガ【Naga】k-1aという神がある。
紀元前200年頃に成立したバラモン教の聖典のひとつ『リグ・ヴェーダ』(リグは賛歌、ヴェーダは聖典。つまり神々の賛歌であり、創造神話である)の中にたびたび現れる強力な種族である。
※注釈k-1a:ナーガはサンスクリット語で「蛇」を意味し、コブラを神格化したもの。ヴェーダの神々と同様、超越的な存在ではあるが、正確には神々とは異なる存在である。(左本文では便宜上「神」と記述している)神々と人間の敵対者であり、協力者でもある。(注釈k-1aここまで)
もとはアーリア人の間で信仰され(あるいは先住ドラヴィダ人の時代、すでに原形が出来上がっていたともいわれる)、現在でもヒンドゥー教の神としてインド文化圏で広く信仰されている。
また仏教とともに中国に渡ったナーガは、天龍八部衆に加えられて竜王と同一視されるようになる。奈良興福寺にある国宝天龍八部衆像の一体である沙羯羅竜王などがそうである。
※注釈k2-b:天龍八部衆
仏法を守護する8つの種族。天・龍〔梵語Nagaの音訳〕・夜叉〔Yaksa〕・乾闥娑〔Gandharva〕・阿修羅〔Asura〕・迦樓羅〔Garuda〕・緊那羅〔Kimnara〕・摩羅迦〔Mahoraga〕。(注釈k2-bここまで)
※注釈k2-c:沙羯羅竜王は沙迦羅ともいい、サンスクリット語で海を意味するサーガラ〔Sagara〕の音訳。あるいは摩羅迦ともいい、サンスクリット語のマホーラガ〔Mahoraga〕の音訳で、大腹行(だいふくぎょう)、大蟒神(だいほんじん)と訳される。(注釈k2-cここまで)
これが那岐の語源にどう関係あるかというと、古代インドの雅語(主に貴族や神官が用いた)サンスクリット語で蛇を意味するナーガの女性形をナーギニーというのである。また地域によってナーギニーはナーギとも呼ばれるそうである。
蛇である上に「ナーギ」。まるで言葉遊びだが、海を渡った女神が、安住の地を求めてたどり着いた東の島国で大地の守り神になる・・・これだけで物語のネタがひとつできそうではある。
https://www.town.nagi.okayama.jp/library/sanbu_text.html
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