『信濃奇勝録』(しなのきしょうろく)は、江戸時代末期に、信濃国佐久郡臼田町の神官であった井出道貞が、信濃国(現在の長野県)の各地を十数年にわたって実地踏査を重ね見分した成果を記録した地誌で、対象範囲は信濃国全域に及ぶ。全5巻である。
当時は、瀬下敬忠の『千曲真砂』を除き、信濃全体を網羅する体系的な地誌・沿革誌として確立した書物がほとんどなかった中にあって、同書は信濃各地の有名な奇勝景観に加えて、歴史・旧跡・民俗・社寺・祭事から、建造物・古器物・出土品、また珍しい動物・植物・鉱物に至るまで多彩な事物を紹介している。文章だけではなく、図も多い。
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