2014年10月12日日曜日


八百万の神々が出雲にお集まりになる旧暦十月、出雲ではいわゆる神有月になると、風が強くなり、海が荒れてきます。そんな時期に出雲大社の近くの浜ではウミヘビが打ち上げられることがあり、その蛇は背は黒色ですが、腹はオレンジ色や黄色で、夜に泳いでいるところを照らすとまるで火の玉が近づいてくるように見えるそうです。最近は海流の関係で上がらなくなったそうですが、昔は打ち上げられた蛇は出雲大社に奉納されました。その蛇は大国主大神のお使い神であり、八百万の神が出雲に来られるときに先導される神だと信じられ、そして人々は祝福をもたらす神「龍蛇さま」とお呼びして篤く信仰してきました。

 旧暦十月十日、稲佐の浜に八百万の神々をお迎えする出雲大社の神迎神事の際には、龍蛇さまが安置され、神事が執り行われます。そして、龍蛇さまは八百万の神々の依り代であるヒモロギの先導として出雲大社までの神迎の道を進みます。そして、神迎祭においても安置されお祭りが行われます。その後一週間の神在期間は龍蛇さまが奉安され、一般の人も奉拝することができます。

また、大和朝廷が出雲の龍蛇神の霊力を重視したのではないか、という説があります。古事記や日本書紀を読むと、出雲の存在が非常に大きく扱われていますが、その理由として、國學院大學教授の新谷尚紀氏は著書「伊勢神宮と出雲大社」(講談社選書メチエ)の中で以下のように述べられています。

 「毎年、西方からの荒れる海流に乗って寄り来る霊妙な龍蛇を迎えて祭り、出雲の王はその自然的霊威力を自らの霊肉に受け取り、その祭祀王としても文化的霊威力を更新しつづけていた祭祀王であったと考えられるのである。
 それに比べて、倭の五王以来、大和の王権に欠けていたのは、その呪術性であり宗教性であり根源的な祭祀王としての霊威力という属性であった。」


つまり、大和の王は強大なエネルギーを持つ出雲の王と出雲の龍蛇神の霊威力を取り込みたかったからではないか、ということです。

[出典]
http://www.izumo-murasakino.jp/izumo-ryujya.html


0 件のコメント:

コメントを投稿